PHASE 7 · LESSON 4

人のレバレッジ。
小さく頼み、見極め、任せる。

売れ始めると「人を雇いたい」が最初に浮かびます。でも、いきなり正社員を採用しません。小さな有償発注で試し、成果を見て、任せる範囲と報酬を段階的に広げます。採用は、商品開発と同じMVPで進めます。

今日のゴール:外注できる仕事を3つ出し、最初の発注内容・予算・探す場所を決める。

チーム作りを考えるロイ
01 · NOT FULL-TIME FIRST

いきなり正社員を採用しない

売れ始めたばかりの段階では、仕事量も利益もまだ不安定です。そこに最初から固定費の大きい正社員採用をぶつけると、売上の波がそのまま資金繰りの波になります。

まず使う

変動費で小さく試す

アルバイト・パート、業務委託、フリーランス、スポット外注。仕事量に合わせて増減できる形から始める。

正社員は

回収できる状態になってから

毎月継続的に仕事が存在し、その人件費を継続的に回収できる状態になってから検討する。

アルバイト・パートと業務委託を混同しない。アルバイト・パートは「雇用」——最低賃金・労働時間・労働法・社会保険等の確認が必要です。業務委託は「契約関係」——仕事の成果に対して発注します。「月3万円で人を雇う」と乱暴にまとめないこと。この後に出てくる小口発注の話は、主に業務委託の話です。
02 · SMALL PAID TEST

小さな有償テストから始める

スケール初期の業務委託では、1人あたり月3万〜5万円程度を一つの初期上限として、小さく発注するという考え方があります。

これは「フリーランスの適正価格が3〜5万円」という意味ではありません。仕事内容・専門性・工数で適正単価は当然変わります。あくまで「まだ相性も能力も分からない段階で、いきなり大きな固定費を持たない」ための小さな有償テストです。そして無料で仕事をさせない。無料は相手の本気も、自分の見極めも壊します。

人材もMVPで試す——商品開発と同じ

商品を「最小の形で市場に出して確かめる」ように、人も「最小の有償の仕事」で確かめます。小さな仕事を一緒にやると、履歴書では分からないことが全部見えます。

仕事ぶり

納期・品質

締切を守るか。言った品質が出るか。修正への反応はどうか。

進め方

コミュニケーション・自走力

報告・相談のタイミング。指示待ちか、自分で前へ進めるか。

相性

数字・顧客・価値観

数字への理解。顧客への姿勢。会社の価値観と合うか。

03 · HIRING IS SELLING

採用も営業である

顧客獲得と人材獲得は、同じ構造をしています。どちらも「待っているだけでは集まらない」。自分から探し、声をかけ、小さく試し、関係を育てます。

段階顧客獲得人材獲得
1認知認知
2リード接触
3商談面談
4購入小さな有償発注
5継続継続
6ファン責任範囲拡大 → 中核パートナー
経営者には、顧客を獲得する力と、
人を獲得する力の両方が必要。
04 · RAISE AS YOU GROW

優秀な外注は、会社が伸びたら報酬も上げる

最初3万円でお願いした人を、会社が伸びても永遠に3万円で使おうとしない。能力・責任・成果が上がれば、報酬と任せる範囲を広げます。

3万円5万円10万円より大きな業務責任者・中核パートナー・正社員
会社が伸びたのに、初期メンバーの価値だけ据え置かない。報酬を上げないまま責任だけ増やすと、いちばん大事な人から離れていきます。
05 · REAL CASES

実体験:人はどこで見つかったか

以下は、この教科書の執筆陣が実際の事業(飲食店・オンライン事業)で経験したケースです。一般論ではなく「一つの実例」として読んでください。

ケース①:ケバブ店では、店の前が採用メディアだった

店頭に求人ポスターを貼ると、近所の学生・主婦・店を日常的に見ている人から応募が来ました。採用チャネルは事業によって違います。店舗型なら、広告費を払わなくても「店の前そのもの」が毎日届く求人媒体になります。

ケース②:ココナラ・クラウドワークスは「スポット」に向いていた

オンラインの外注ではココナラやクラウドワークスも使いました。小さな制作やスポット業務を頼むには便利。一方この実体験では、中長期で事業を一緒に作る相手には、なかなか発展しませんでした。これは普遍的な事実ではなく、あくまで一つの経験談です。

ケース③:結局、自分の足で会いに行った人が残った

スタートアップ界隈のイベントや交流会に自分から参加し、起業家・エンジニア・デザイナー・マーケター・フリーランスと直接関係を作る。もちろん玉石混合です。それでも、求人を出して待つだけでは出会えない人がいました。大事なのは自分から話しかけること。人材も顧客と同じで、待っているだけでは集まりません。

06 · CHANNELS

人材チャネル比較

どこで探すかは「どんな仕事を頼むか」で決まります。1つに絞らず、仕事に合わせて使い分けます。

チャネル向いている仕事メリットデメリット長期関係コスト経営者がやること
店頭ポスター店舗バイト・地域人材近隣の学生・主婦と相性がよい。広告費ゼロ店舗型でないと使えないほぼゼロポスターを貼る・店で声をかける
求人媒体アルバイト・パート応募母数を取りやすい掲載費。雇用の法令確認が必要求人票を書く・面接する
ココナラ制作・スポット専門業務小さく試しやすい。実績が見える中長期の関係へ発展しにくい面も依頼文を明確に書く
クラウドワークス大量募集・オンライン外注応募を比較しやすい玉石混合。見極めに時間がかかる小さなテスト発注で選ぶ
SNS発信・制作・マーケ価値観や実力を発信から見て声をかけられる返信が来ないことも多い日頃から発信し、自分から声をかける
紹介信頼が要る業務信頼性が高い母数が少ない。断りにくさが残る「こういう人を探してる」と言い続ける
イベント・コミュニティ中核候補・専門人材求人では出会えない人に会える時間がかかる。玉石混合時間自分から参加し、話しかける
直接スカウトどうしても欲しい人狙った人に届く最も主体性と誠意が必要相手の仕事を理解した上で口説く
07 · YOUR FIRST ORDER

ワーク:最初の発注を設計する

入力はこの端末に自動保存されます。7-1の「事業の一枚」で書いたボトルネックと業務の棚卸しを見ながら埋めてください。

発注時の約束ごと:仕事の範囲・納期・金額・支払日を先に文字にする。無料でやらせない。雇用(アルバイト・パート)にする場合は、最低賃金・労働時間・社会保険等の法令を確認する。
本ページの「3〜5万円」は業務委託の小口初期発注のケースであり、雇用賃金の基準ではありません。実体験ケースは執筆陣の経験談であり、成果を保証するものではありません。